岡部株式会社様

管理部人事総務グループ人事チーム
課長 川上純平様

  • 法定雇用率が達成できない状況が続いていた
  • お客様とのコミュニケーションが必須である本業の性質から、仕事の切り分けが難しい
  • 現場のリテラシーの向上が追いつかない
  • 法定雇用率の達成、維持
  • 身体障がいの方のみならず、精神障がい、知的障がいの方の雇用拡大につながった
  • 農園スタッフの皆さまと密なコミュニケーションにより、従業員一人ひとりとの接し方等ノウハウが蓄積できた

岡部株式会社様
1917年創業の建設関連資材の総合メーカーである岡部株式会社様(本社:東京都墨田区押上2丁目8番2号)。コア事業である建築、土木製品の開発、製造、販売に加え、海洋資源の保全等を行う海洋事業を行なっていらっしゃいます。
すでに障がい者雇用に取り組んでこられていたものの、法定雇用率の維持・達成にお悩みだったという岡式株式会社様には、2021年12月からはーとふる農園をご利用いただいており、現在6名が働いていらっしゃいます。はーとふる農園のご利用で、どのような課題をどう解決されたのでしょうか。
管理部人事総務グループ人事チーム 課長 川上純平様にお話を伺いました。

はーとふる農園を導入する前に直面していた、課題は何でしたか?

年々ハンデキャップを持った従業員が高齢化していることもあり、将来の法定雇用率の引き上げを見越した雇用率の維持・達成が課題でした。また、課題のクリアには、多様な人財が配属先で活躍できるよう、現場のリテラシーの向上や、仕事の切り分けを常に行える体制を構築することが必要であるとともに、そこまで手が回らずボトルネックとなっている状況でした。

― 長い間、雇用率ギリギリか、何ポイントか足りない、という状況が続いていました。当社の課題としては、受け入れ部門のハンディキャップに対するリテラシー、その教育を行き届かせることが難しい点が大きな悩みでした。また、仕事の切り分けが非常に難しい。身体にハンディのある方であれば事務系のお仕事をお任せしてもいいという中で、他のハンディキャップのある方に何をやってもらおうかというときに、当社ではお客様だったり相手がある仕事が中心になってきてしまうので難しい、というのが課題としてありました。また、現場の声を聞くと、現場の責任者やメンバーの負担がかなり大きかった、ということがありました。自前でなんとか採用してみようと、ハローワークにお力添えいただき面接したこともありますが、採用を自前でやっていくことが厳しいという経験をしました。 どこの会社もおなじだと思いますが、「仕事の切り分け」「現場の負担」がどうしてもボトルネックになっていくと思います。採用するだけならカンタンなんですけど、入ってもらった人がそのあといきいきと働けるか、ということもありますから。

― はーとふる農園を知ったきっかけは?

業界紙に、はーとふる農園 愛川農園開所の記事が掲載されていたのを社長が目にし、「長くお付き合いさせていただいている日建リース工業さんなので、話を聞いてみようよ」と、ある意味トップダウン的にご縁を結んでいただいた、というのがきっかけです。
実はこの頃、4ポイント不足している状況でした。御社の新聞記事を見て渡りに船。このサービスを利用してでも、対策したいということに。もちろん、農園のサポート体制やスタッフの方の専門性に安心感があったこと、また、『ハンデキャップを持つ方の幸せの創造』という御社の農園事業の理念に共感した、という事もあります(笑)。

― 働いていらっしゃる6名の方のお仕事ぶりはいかがですか?

ビニールハウスですので夏場は大変というのは実感としてありますが、安全面に十分配慮いただきながら働いています。従業員は意欲的に取り組んでくれており、勤怠も安定しています。

月に1回は人事チームから農園に伺い、従業員の様子を見させていただき、農園スタッフの皆さまに状況をお聞きして改善すべきところはしています。連携は密にとっていただいているので、状況はすごく把握しやすく、助かっています。
仕事に関しては、みんな「楽しい」と言ってくれていますね。いまは特定の作物を指示に従って作っていますが、「イチゴを作ってみたい」と言っている社員もいて、向上心をもって取り組んでいる社員も多くいるので、すごくよい環境で仕事をしているんだな、という印象です。新しいチャレンジをどんどんしていきたい、と思っています。

― はーとふる農園をご利用いただいて、障がい者雇用の取り組みに関する変化はありましたか?

法定雇用率改善ですね。おかげさまで達成できています。
また、採用に関するコスト・リソースが大幅に減りました。と言うのも、はーとふる農園では、トレーニングした上で「この人ならウチへ」という、マッチング角度の高い方をご紹介いただけるのが大変に有難いところかな、と思っています。

― 農園利用で得られた成果とはどのようなものでしょうか?

身体の方のみならず、精神、知的障がいの方の雇用拡大につながるとともに、農園スタッフの皆さまとの密なコミュニケーションにより、従業員一人ひとりとの接し方のノウハウが蓄積できていると感じています。

自前で採用するとなるとどうしても本業の性質から身体の方を中心に採用を、ということになりますが、精神障がいの方、知的障がいの方など雇用拡大が獲得できた、という点も大きいと思います(農園従業員様の特性内訳:知的障がいの方:3名、精神障がいの方:3名)。また、農園スタッフの方は専門知識をお持ちなので、我々が困ったときに「こうしたらどうですか」と具体的にアドバイスをいただけるので、対応に困ることはあれど、必ず道が開ける、というのが非常に有難いですね。従業員一人ひとりに対する接し方は違いますから、アドバイスいただき、参考にさせていただいて、会社としてもノウハウが蓄積できてきているのかな、と思っています。

― 本社の皆さまへの「はーとふる農園」での障がい者雇用への認識は?

社員食堂で、はーとふる農園のベビーリーフがメニューにでるときは、私が作ったポップを掲示してPRしています。それから一昨年、社長がはーとふる農園を訪問させていただき、その様子も社内報の記事になっていますので、社内での認知はしっかりされています。
「ベビーリーフ、おいしいね」とわざわざ言いに来てくれる社員もいて、出来栄えも上々のようです。

― 障がい者雇用に課題を感じている他の企業さまにメッセージがあればお願いします。

サービスを約3年利用させていただいて、現地農園スタッフの皆さまがケアの専門知識を非常に深く持っていらっしゃって、質の高いスタッフの方が常駐されている、という意味で、(我々は常駐できませんけれど)すごく安心してうちの社員の指導を含めて任せられることが、(はーとふる農園の)大きな強みではないか、と思っています。
あとは、やはりこのサービスでやらせていただく事で、最初にお話しした本業からの仕事の切り分けと、社内の障がい者対応のトレーニング、この対策を待たずして障がい者雇用の実現ができるということですね。
農業というのはいきいき働いていて、いいですよね。労使双方にメリットがあると本当に感じています。当社も法定雇用を達成でき、働いている従業員もとてもいきいきと働いている、社会的意義のある、とてもいい取り組みなんじゃないかと思います。

― 最後に、この3年間の取り組みで印象に残っていることはありますか?

導入当初は、勤怠が安定しない社員がいました。月に10日欠勤してしまうような状況で、真っ先に、はーとふる農園のスタッフさんから心配して連絡をいただきました。どうしたらいいですか、と相談したら、「契約更新のタイミングで、ちゃんと約束して、それを守らなければ、継続が難しいことを根気よく伝えた方がいいですよ」とアドバイスいただきました。私もなかなか従業員の進退にかかわる話し合いをした経験がないので心苦しくもあったんですけれども、御社のスタッフの皆さまにアドバイスいただいて、場合によっては同席いただき、補足していただいたので心強く、社員と向き合って接することができたのかな、というのがすごく印象に残っていますし、いまでも頼りにしています。
難しいですよね、一人ひとり事情や特性が違うので、通り一辺倒の常識は通じないケースがあるんですね。そんな時に、どう話しかけたらいいのか、ちゃんとアドバイスいただいて、私が足りないときには補足していただいたり、農園では日々注意喚起していただけて、たいへん助かりました。
自社ではとてもやれないですよね。毎日言い続けて、月に一度面談して…。言い続けるというのはなかなかできないですよ。心強いです。
これまでもサポートしていただけているので満足しています。引き続きご協力いただければ、と思っています。

― ありがとうございました。これからも「はーとふる農園」がお役に立てますよう、尽力してまいります。

2024年10月29日インタビュー
※掲載の名称・数値等の情報は当時のものです。