障がい者雇用のはじめの一歩~基礎知識とメリット・デメリット~
日本では2024年11月現在、従業員数が40名以上の企業に障がい者雇用が法的に義務づけられています。
義務を果たさない場合、行政からのリスト公表のリスクが生じます。
ただ、障がい者雇用を導入した企業の多くで、支援体制不足や業務の適応に苦戦している現状があります。
そこで、この記事では、法定雇用率について、障がい者雇用の基礎知識のメリットやデメリットについて、ご紹介いたします。
法定雇用率とは?
法定雇用率とは、障がい者雇用を促進するために制定された「障害者の雇用の促進等に関する法律(障害者雇用促進法)」で規定されている、全従業員数に対する障がい者の従業員の割合のことです。
一定規模以上の企業に適用され、2024年11月現在では従業員数が40名以上の企業となっています。
日本の民間企業における法定雇用率は、2024年11月現在、2.5%に設定されていますが、段階的に引き上げられることが決まっており、2026年7月には2.7%となる見通しです。
法定雇用率未達成のリスク
法定雇用率が未達の企業は、次のようなリスクを抱えることになります。
①企業名が表示される
法定雇用率が適用される企業が未達成の場合、厚生労働省に「障がい者雇用状況の改善が見られない」と判断されると、企業名が公表されることになっています。
厚生労働省のWebサイトやニュース、SNSなどで企業名が表示され続けるため、企業のイメージダウンにつながります。株主訴訟や入札への悪影響も懸念されます。
②障害者雇用納付金が徴収される
法定雇用率を未達成の企業のうち、常用労働者100人超の企業からは、障害者雇用納付金が徴収されます。
障害者雇用納付金とは本来、障がい者を雇用するために企業が負う経済的負担を軽減するために、厚生労働省から、法定雇用率を達成している企業へ支給されるものです。
未達成の場合、雇用すべき障害者1人当たり、5万円の納付金を支払わなければならず、納付を行わない場合は追徴金や延滞金が発生します。
障がい者雇用のメリット
企業が障がい者を雇用することで、以下のようなメリットが期待できます。
①多様性を促進できる
障がい者を雇用することは、企業のダイバーシティ推進の一環として有効です。
多様なバックグラウンドを持つ従業員が増えることで、組織内に新たな視点や価値観が加わり、イノベーションが促進されます。
また、社内での協力体制が強化され、包容力のある職場環境が形成されるという副次的な効果も期待できます。
②企業イメージが向上する
近年では、SDGs(持続可能な開発目標)への対応が注目されており、企業の社会的責任(CSR)の一環としても評価される傾向にあります。
障がい者を雇用することで、顧客からの信頼獲得、優秀な人材の確保、ひいては企業の持続的な成長に貢献します。
③イノベーションを促進する
障がいを持つ社員の視点は、既存の枠にとらわれない、斬新なアイデアを生み出す源泉となります。
たとえば、車いすユーザーの視点から生まれたバリアフリー商品の開発や、聴覚障がい者の感性を活かした新しいコミュニケーションツールの開発など、障がい者ならではの視点がイノベーションを促進する事例は数多く存在します。
④従業員全体の意識改革
障がい者雇用を行うことで、既存従業員の意識改革にもつながります。
新たな同僚との協力やコミュニケーションを通じて、働き方や価値観の見直しが促されることが多く、職場全体のモチベーション向上や結束力強化が期待できます。
障がい者雇用で押さえるべき(注意すべき)ポイント
障がい者雇用を進める際には、以下の点を押さえておく必要があります。
①適切な業務設計
障がい者が実際に担当する業務が適切であるかどうかを事前に検討することが重要です。
障がいの種類や程度に応じて業務を設計し、無理なく遂行できるような内容を割り当てる必要があります。
たとえば、事務作業や軽作業のように、障がい特性に適応したタスクを選定するといったことです。
②サポート体制の整備
障がい者が快適に働ける環境を整えるために、サポート体制を充実させる必要があります。
たとえば、定期的に障がい者本人と面談し、仕事の進捗や悩みを共有する機会を設けましょう。
③職場環境の改善
障がい者が安心して働ける物理的および心理的環境を整えることが重要です。
たとえば、職場への出入り口やトイレ、オフィス内の通路をバリアフリーにしたり、照明や音環境を配慮し、集中しやすい環境を提供したりといった改善が挙げられます。
まとめ
障がい者雇用は、法的な義務以上に企業の成長や社会的責任を果たす手段としての意義を持っています。
法定雇用率達成のためには、リスクとメリットを理解した上で適切な取り組みを進めることが重要です。本記事を参考に、貴社でも積極的に障がい者雇用を推進してください。
なお、「はーとふる農園」では、障がい者の方が働きやすい環境と仕事を提供しています。
貴社に、『はーとふる農園』の一区画を貸し出し、当社からは、就農を希望されている障がい者の方(実習済み)をご紹介します。雇用いただいた障がい者の方を「はーとふる農園」に配属していただくという仕組みです。
法定雇用率の達成に悩む企業様は、ぜひお問い合わせください。
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